2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧
日本に仏教が渡って来たからであろうか、 歌でも、詩でも小説でも、 とにかく涙っぽいものが幅をきかせてきた。 なるほど泣く楽しみがある。 だから悲劇も愉快なもの。
どうしてこんな始末になったのだ? 生まれてきたからだ。
自分が神経質になっていると思った。けれど、言葉なんてなかった。 何もしゃべらずに生きているみたいだった。 どれくらい生きたのだろうと、何でもないように笑った。
我々の恐れなければならないのは、 恐れることそのものである。
柔和な人々は、幸いである。 その人達は、地を受け継ぐ。
ただひとり思いにふけりつつ、わたしは歩く、 人影の絶えて見えぬ土地を、重い足取りで。 人が足を踏みいれたところには、ゆめ 立ち入るまいと、地面に目を凝らしつつ。
口に出さないやさしさが痛い 窓の外も雪に変わった
女にとって、善良な女にとってさえも、 自分の肉体の誘惑に抵抗できる男がいると悟ることは、 とても辛いことだ。
飛ぶことをおぼえたければ、 まず、立つことから始めて、 歩き、走り、のぼり、 おどることをおぼえなければいけない。 いきなり最初から飛ぼうとしても無理だ。
ずいぶん前に買った煙草が、一本だけ転がっていた。 水でふやけて、また乾いたみたいに巻紙が茶色かった。 マッチを、次々に火がつくように並べて、火をつけた。
翼あるものは見ている。 網を仕掛けるのは徒労だ。 待ち伏せて流すのは自分の血。 隠れて待っても、落とすのは自分の命。 これが不当な利益を求める者の末路。 奪われるのは自分の命だ。
人生で必要なのは、前に進む力だけだ。
春霞 立つや遅きと 山河の 岩間をくぐる 音聞こゆなり
今すぐ飛んでゆきたいけど すべてを捨てて 行けない私がいる
全身に自分の歴史と伝統が 籠っているという気持ちを待たなければ、 今日の仕事に完全な成熟というものを 信じられないのではなかろうか。
善良で慎みある穏やかな性質の人は、 貧しい環境にいても幸せになれるが、 意地悪な性格の人間は、 たとえ世界金持ちであったとしても、 みじめな気持ちから抜け出せない。
カレンダーに印をつけた。過ぎた日に×をつけた。 つけ方が気に入らなくて、カレンダーごとゴミ箱に放り込んだ。 放り込むと、その放り込まれた形が気になったけど、 気にしないようにした。
猿に見せるつもりで書け。 俺などはいつも猿に見せるつもりで書いているが、 世の中はそれでちょうどいいのだ。
人は言った。 「ついに、これこそ、わたしの骨の骨。 わたしの肉の肉。」
どうしても気持ちが揺さぶられる相手なのなら、用心して。 じゃないと、簡単に欲望の矢に射貫かれて、危険。
あなたを感じていたい 白い吐息の 季節の中で
鉄は赤く熱しているうちに打つべきである。 花は満開のうちに眺めるべきである。 私は晩成の芸術というものを否定している。
人は城、人は石垣、人は堀。 情けは味方、仇は敵なり。
人差指の指先を額につけてみた。 別になんでもないのに笑えた。 淋しい笑いなんだな、と思った。
君に仕えて意見が合わぬ時は、 諫死するもよし、幽囚されるもよい。 飢えて死するもよい。
神は御自分にかたどって人を創造された。
うたた寝に 恋しき人を 見てしより 夢てふものは 頼みそめてき
独り歩く街中が にじんだキャンドルでいっぱい 切なくて
近代劇の観客にとって俳優は、代理の人間である。 俳優は観客に代わって、もう一つの現実を具現し、 観客の死を死ぬのである。